新型コロナウイルス感染者の急増に伴い、東京都では自宅療養者がこの約1カ月で12倍に増え、2日時点で過去最多を4日連続で更新し12161人となった。比較的症状の軽い若い世代が中心だが、容体急変の恐れがあり、救急搬送される療養者もいる。保健所は健康観察に追われ、業務逼迫の要因になっている。(岡本太)
都内の新型コロナ患者は約1カ月前の7月1日、入院は1557人、都が準備したホテルでの宿泊療養は1176人、自宅療養は1006人だった。
だが、感染の急拡大とともに自宅療養が急増。30日に第三波のピークだった9442人(1月18日)を超えて9793人となり、31日には10000人を突破。2日時点で入院が約2倍の3231人、宿泊療養も1769人で約1・5倍となったが、自宅療養の伸びが際立っている。
都によると、高齢者のワクチン接種が進み、感染の中心が若い世代に移行。以前よりすぐに入院となる人の割合は少ないが、子育てや介護などで家庭を離れられず、自宅療養を希望する人が多くなったという。
ただ軽症の若い世代でも療養中に容体が急変するリスクはある。7月上旬に横浜市の40代男性が、5月には京都市で20代男性が、ともに自宅療養中に容体の急変で死亡。都内でも1月に自宅療養の50代女性が亡くなった。
このため、保健所は本人に定期的に電話などで体調を確認し、都も1月以降、自宅療養者のフォローアップセンターを拡充。血中の酸素飽和度を測るパルスオキシメーターを貸与し、65歳未満の自宅療養者の健康観察を引き受けた。
しかし、療養者の急増で都のセンターに余力がなくなり、7月28日以降は観察対象を30歳未満に引き下げた。保健所に負担が集中するが、都の担当者は「対応する看護師の確保はワクチン接種などで需要が高く、なかなか見つからない。都も限界に近い」と説明する。
都内の医師会も、地域の医師が往診などの体制を構築するが、今の増加ペースが続くと、対応しきれなくなる可能性が高まっている。都モニタリング会議の専門家メンバーで、国立国際医療研究センターの大曲貴夫医師は「安全安心な自宅療養のためには、コロナを診てこなかった開業医などの協力が不可欠だ」と話すが、一般診療とのバランスなどもあり、体制づくりは容易でないという。
都の担当者は「療養者が今後も増え続ければ、対応は一層難しくなる。とにかく感染者を減らさないと」と危機感を募らせる。
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からの記事と詳細 ( 東京の自宅療養1万2000人超 都の健康観察「限界に近い」、30歳未満に縮小<新型コロナ> - 東京新聞 )
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