KDDIが、トータルヘルスケアアプリ「auウェルネス」の機能を拡張。医療テック企業のMICIN(マイシン)、ホワイトヘルスケアと連携し、9月からオンライン服薬指導サービスを提供する。6月29日の説明会にて、取り組みの背景や目指す世界観を示した。
日々の健康管理から医療体験まで1アプリで一気通貫に提供
少子高齢化が進む日本では、医療に対する良質なサービスや利用しやすさに対する高いニーズがある一方、コストの問題が常にある。しかもコロナ禍により外出や運動の機会が減少、感染リスクを回避するために適切な受診行動を避ける人もいて、健康管理環境が悪化している。
日々の健康管理から、いざというときの医療体験まで、トータルで支援が必要な状況で、KDDIとしては「スマホを起点としたトータルな支援環境を提供したい」との考えから、健康(予防)から医療まで、さまざまな局面に対応できるサービス、機能を1つのスマホアプリの中で提供すべく取り組んでいる。
KDDIが、ヘルスケア領域にスマホ起点で取り組み始めたのは、2015年に開始した輸送型血液検査サービス「スマホdeドック」から。スマホdeドックは、自宅に届いたキットで指先から血を1滴取って送ると、健康状態の把握ができ、必要な支援が受けられるサービスだ。
また、2020年11月からは「auウェルネス」「ポケットヘルスケア」の2アプリを提供している。auウェルネスは歩数カウントやオンラインのエクササイズなど、日々の健康活動を支援する機能を提供。一方、ポケットヘルスケアは健康スコア、AIによる受診相談などが可能で、いざというときの体調悪化を支援する機能を提供。東京都豊島区で先行的に実証利用を行っている。
予防から医療まで対応できるサービスを1つのアプリで提供することを目指しているが、医療行為に近くなるほど規制が多いため、現在はauウェルネス、ポケットヘルスケアの2つのアプリでサービスを提供しているが、2つに分かれているのはユーザー体験的にスマートとは言いがたい。そこで、今後はいざというときの医療系の機能もauウェルネスに集約していく方針だ。
また、これら2つのアプリでカバーできていないオンライン診療、オンライン服薬指導という、より医療に近い体験の支援をする環境を、ホワイトヘルスケア、MICINと連携して追加する。
オンライン診療については、「curon(クロン)」というオンライン診療サービスを展開しているMICINと連携し、「curon for KDDI」として6月7日から提供を開始している。また、オンラインでの服薬指導についても、MICIN、ホワイトヘルスケア2社との連携で、「オンライン診療からオンライン服薬指導まで、一気通貫した体験として提供できる状態を実現したい」と田口氏は意気込みを語った。
これにより、定期的に薬を受け取る必要がある患者が、自分の都合に合わせてオンラインで診療から薬の受け取りまで可能になる。仕事などで時間がとれず医療機関に行きにくい人たちも支援できるとしている。なお、今後はお薬手帳の機能も追加する予定で、服薬指導と服薬管理が簡単にできるようになる。
オンライン診療から服薬指導の流れ
オンライン服薬指導を受けるには、まずオンライン診療を受ける。auウェルネスから「オンライン診療」の項目を選び、医療機関検索から受診できる病院を検索。診療予約のために、日時や支払い方法、保険証などを登録して申し込む。
診療日時になったら、ビデオ通話で医師の診療を受けられる。決済もアプリ上で行う。処方箋が病院から調剤薬局に送られ、薬局を予約してオンラインで薬剤師から説明を受けることができる。後日、指定の方法(配送・宅配ボックス・店舗受取)で薬局から薬を受け取れる。
オンライン診療経由でオンライン服薬指導システムを利用した場合は無料。オンライン診療システムの利用料は、診察1回あたり330円(税込み)、薬局からの請求となる処方薬代金や、薬の配送料金などがかかる。
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サービスの質と効率性が改善される
MICINの原氏は、今回の協業についての期待として「auユーザー3000万人に上る顧客基盤へのアクセス、オンライン、オフライン問わず構築されたサポート網、KDDIグループが持つ技術」の3つを挙げた。
コロナ禍で医療機関でのオンライン診療の導入は進んできているが、それでも利用は診療全体の1〜2%と見られており、患者側が触れる機会が限られているのが大きな課題だという。KDDIと連携することで、「患者さん側がオンライン診療に触れる接点が増え、実際にオンライン診療を使ってみるという後押しになれば」と原氏は期待を語った。
主にオンライン服薬指導の周辺を受け持つホワイトヘルスケアの池本氏は、「サービスの質と効率性の改善」を協業の期待として挙げた。
「オンライン服薬指導によって、患者さんの待ち時間は短縮、あるいはほとんどなくなる。薬剤師さんは、『薬が余っていませんか?』『薬の副作用はありませんでしたか?』といったような、今まで店頭ではなかなか提供できなかったアフターフォローも指導と同時に実現できるようになる」(池本氏)
KDDIは今後、オンライン診療、オンライン服薬指導までもauウェルネスに集約していく予定だが、「健康・医療領域はまだまだ範囲が広い」(田口氏)。食事、睡眠、心から暮らし全般まで、auウェルネスでカバーする範囲を拡大していく考えだ。
コロナ禍で健康管理の環境が悪化する中、オンライン診療、オンライン服薬指導の規制緩和も進む。競合他社も同様のサービスを広げている中で、田口氏はKDDIの独自性として2点挙げた。1つは、auウェルネスアプリが日々の運動を促す機能を備えていて、ユーザーが医療体験まで一気通貫で受けられる点。「9月にサービスを開始すると明言しているのは、今のところKDDIだけだと思っている」と同氏。2つ目は、アプリで蓄積されるデータを活用してサービスを広げていこうと考えている点だ。
「保険や健康関連のさまざまなライフデザイン商材も合わせて提供していきながら、ニューノーマル時代のトータルヘルスケアサービスとしてナンバーワンになるというビジョンを掲げ、事業を推進していきたい」(田口氏)
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