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Tuesday, January 26, 2021

健康危機管理と疾病予防を目指した新しい組織創設の提言を発表 - PR TIMES

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提言
健康危機管理と疾病予防を目指した政策提言のための情報分析と活用並びに人材支援組織の創設
2021年1月7日
一般社団法人 日本医学会連合
Japan CDC(仮称)創設に関する委員会(第二次)

本提言は、日本医学会連合 Japan CDC(仮称)創設に関する委員会(第二次)での審議結果、構成学会、理事会からの意見取りまとめ公表するものである。
<本文の全文、および提言発表の動画は日本医学会連合のホームページをご覧ください>
URL: https://www.jmsf.or.jp/news/page_965.html

要旨
わが国の医学分野136学会の連合体である日本医学会連合は、医学の学術と実践を担う団体として、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより惹起されている地球規模の保健・医療・経済・社会問題への継続的かつ抜本的な対応と共に、今後とも起こり得る危機的な感染症、自然災害等に併発しうる健康危機にも対応でき、さらに広く長期的な疾病予防・管理への対処を目指すことが必要であると考える。わが国において、医学的見地から政府に助言等を行うことを目的に発足した新型コロナウイルス感染症対策専門家会議やその後の新型コロナウイルス感染症対策分科会(分科会)及び厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(アドバイザリーボード)の活動が、感染症の第1波並びに第2波の抑圧に大きく貢献してきた。しかし、2020年11月以降の第3波では感染者数が増加の一途をたどり、さらに12月25日には、英国で検出された感染力の高い変異株が日本人帰国者からも検出され、事態は全く予断を許さない状況に陥っている。したがって、終息の見えない新型コロナウイルス感染症の第3波を抑制するという我が国が直面する課題や未来の新たな有事に対して、日本医学会連合もより積極的に関与し貢献できると考える。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議、分科会及びアドバイザリーボードで蓄積されてきた知見、経験、課題、提言等を活かし、その機能をさらに強化・充実させるため、日本医学会連合は、分科会及びアドバイザリーボードや他の学術団体・研究機関との機動的なネットワークを構築し、共に健康危機に対応する所存である。特に、科学的エビデンス創出に関して、緊急的に何が問題か、それに対してアカデミアが何をできるのか早急に議論する。一方で、このウイルスとの闘いは長く困難を伴うものと思われ「いまここにある危機」への対応を強化するばかりではなく、より中長期的視野に立った抜本的な体制づくりを今こそ行うべきと考える。そのため、日本医学会連合は、新型コロナウイルス感染症に象徴される健康危機対応と疾病予防を強化するわが国の根本的な改革として、医学の学術・実践団体としての中立的立場から、そしてこのウイルスの新たな問題の出現や将来未知の感染症の発生時にいち早くより適切な初動を起こすためにも「科学的エビデンスに基づく政策提言と情報分析と活用並びに人材育成・活用の支援を行う常設組織の創設」を強く要望することとした。そして本組織が有効に働くための方策について国への提言をまとめた。以下では、中長期的視野に立った抜本的な体制づくりに関する提言の6点を取り上げる。
提言作成の背景、現状と課題、提言の詳細については、本文(日本医学会連合ホームページ掲載)で述べる。

1) 健康危機管理と疾病予防を目指した政策提言のための情報分析と活用並びに人材支援組織の創設
2) 情報の一元化による国、自治体、アカデミア、国民の間での必要な情報の共有と活用
3) 情報・試料の活用によるアカデミアでのエビデンス創出の促進
4) 国、都道府県、市町村・政令市・特別区の平時からの連携・協働の強化
5) 健康危機管理に対応した保健医療体制の抜本的見直し
6) 平時の人材育成と緊急時の動員によるサージキャパシティの確保

以下、順に説明する。
1) 健康危機管理と疾病予防を目指した政策提言のための情報分析と活用並びに人材支援組織の創設
科学的エビデンスに基づく政策提言を行うため、健康危機に関する情報の包括的な収集・分析・蓄積と公表、緊急事態オペレーションに資するエビデンス提供、アカデミアにおけるエビデンス創出支援のための情報提供、国際機関や海外研究機関との連携による情報の収集・分析・蓄積と海外への情報発信、健康危機管理に対応できる人材育成・活用の支援、そして中長期的には広く疾病予防を目指した常設組織の創設を提言する。一方で、発生した危機的事態に際しては、本組織の機能を保ちつつ、政府を中心とした緊急事態オペレーションや実働部門への技術的・人的支援を行う。さらに、本組織の機能を十分に発揮するため、下記の方策を要望する。

2) 情報の一元化による国、自治体、アカデミア、国民の間での必要な情報の共有と活用
情報一元化の鍵は、健康危機に際して過度の負担を強いることがなく、全例の情報入力が可能となる適切な標準システム(様式の標準化)基盤を構築すること、および不具合に対する迅速な改修対応体制を維持することである。既に、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)や新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)の運用が始まっているが、本提言組織が情報分析を行い、モニタリング項目の見直し(追加・削除)への提案を行う。最も重要な点は、情報の地方から中央、そして市民・国民への一方通行ではなく、関係諸機関の間での情報共有とその活用である。

3) 情報・試料の活用によるアカデミアでのエビデンス創出の促進
健康危機対応における情報共有,個人情報保護についての考え方や法制度を早急に検討し,倫理審査の迅速化を進め、得られた情報・試料が匿名化された形で、日本医学会連合等の学術組織、その他多分野の学術団体、並びに研究機関が連携して研究者が活用できるよう,さらには海外の研究機関との国際共同研究を推進できるよう、情報・試料活用基盤整備を強く押し進めるべきである。それにより、感染・発症・予後に関する情報のみならず、医療機関の現場における症例登録や試料・検体の研究利用についても格段に促進される。

4) 国、都道府県、市町村・政令市・特別区の平時からの連携・協働の強化
健康危機対応には、迅速な初期始動と全国での対策の徹底が重要であり、そのため、国、都道府県、市町村・政令市・特別区の連携・協働の強化による、情報伝達、指揮命令系統の明確化、権限の整理が必須となる。平時において常に世界各国・各地域での感染症や災害の発生状況のモニタリングを行い、緊急事態への対処のための現状分析、訓練、人材養成を行い、緊急時においては、あらゆる関連業務の実情を把握した迅速かつ組織的な対応が求められる。大規模な感染症のみならず、災害が頻繁に起こるわが国において、感染症と災害等の複合的健康危機にも対応できるよう、ライフラインや運輸・通信等々の多様な関係セクターに拡張可能な体制としておく必要がある。健康危機が頻発かつ多様化する現状においては、健康危機管理体制を個別化することは人員等の資源の確保の観点から非効率的であり、リスク種別に係わらないオール・ハザードに対する体制として整備する3ことが強く求められる。

5) 健康危機管理に対応した保健医療体制の抜本的見直し
健康危機管理の現場の主役である、公衆衛生組織(検疫所、保健所、地方衛生研究所)並びに医療機関、そして福祉・介護施設に関して、今回の新型コロナウイルス感染症の流行により、組織自体並びに組織間の連携の脆弱性が露呈した。そのため、公衆衛生と臨床医学の分野における公的・民間機関における健康危機管理体制の抜本的な見直しが必須である。保健所では、所長の権限の強化、保健師、情報管理部門の専門職の確保、検疫所との連携が求められる。地方衛生研究所に関しては、法制化によって自治体の必置機関と位置づけ、保健所と共に情報収集、検体検査・分析等を行う拠点であることを明確化する。医療機関においては、感染症並びに災害等の健康危機に統合的に対応するため、自然災害対応を中心とした組織との協働体制の強化を検討する必要がある。さらに、国家戦略として、産業界との連携による国全体のPCR等検査件数の拡大と維持、そのための体制・制度を整備・構築することが求められる。

6) 平時の人材育成と緊急時の動員によるサージキャパシティの確保
平時の行政の人事体制では、危機対応の人員・専門家を育成し、緊急時に適切かつ十分に動員することは困難なため、平時からの人材育成と緊急時の動員によるサージキャパシティの確保が必須となる。保健所、地方衛生研究所での医師、保健師等の人材の確保(人員の増加)と研修の強化、感染症の専門家・専門医養成の拡充、医師、看護師、臨床工学技士の研修・訓練の強化、公衆衛生分野の大学院等での保健医療福祉分野や医療情報基盤整備の実働体制を支える幅広い人材育成を、例えば国公立の施設から始め、有事には国公立施設の通常診療の一部を私立病院が即座に代行するような仕組み作りが必要となる。

以上

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