レノボがThinkPadと並ぶもう一つの高級ノートPCとして、個人向けに展開しているYogaシリーズ。その中に、日本のヘビーユーザー向けとも呼べる、1kgを切る軽量かつモバイルノートPCとして高性能で魅力的な機種が加わります。
それが『Yoga Slim 750i Carbon』。発売(受注開始)日は12月4日、価格は14万4800円(税別)から。販路は量販店の店頭とWeb直販の双方となるモデルです。
モデル名に「カーボン」を冠するように本体素材にカーボンファイバーを採用し、重量は約966gと軽量。一方性能面では2560×1600解像度、アスペクト比16:10の液晶を搭載し、CPUは最新のインテルTiger Lake版Core i7/i5。さらに公称バッテリー駆動時間は約14時間など、モバイルPCとして高い水準の性能を実現します。
また本体の色は、セラミックや白磁器系の上品なホワイト。素材としては黒いカーボンファイバー素材を採用しながら、高い塗装技術により金属ボディの塗装かと思うような、美しい仕上げとなっています。
これを受けて、レノボ側のキャッチフレーズでも「世界を、いちど真っ白に。」「白いカーボン」と、ライトノベルのセリフかと思うような大胆フレーズでこの点を強調しています。
なお本機は、中国市場などでは、8月に『Yoga Pro 13s Carbon』として予告が打たれていたモデル。日本のヘビーユーザー好みのスペックのため展開が待たれていましたが、今回正式に発売が決定した格好です。
関連記事:レノボ「もう1つのCarbon」は1kg切り。高級ノートYoga Pro 13s Carbonを中国で予告(2020年8月)
最大の特徴となるカーボンファイバー製の外装には、東レ製の素材を採用。さらに内部構造は、現行ThinkPad X1 Carbonでも使われている3層サンドイッチ構造の『第2世代ウェブコアカーボンファイバー』を採用し、軽さと高い剛性を両立します。
耐久性に関しては、米国調達基準の「MIL-STD-810G」の落下や振動、粉塵テストなどをパスする点をアピール。さらにこれらより厳しい、社内信頼性試験もパスしています。
仕上げに関しては、3層構造のコーティングによるもの。表面には手触りの柔らかなソフトフィニッシュを採用し、指紋を防ぐ防指紋ペイントも導入。これにより汚れの拭き取りも容易になっており、白い本体ならではの汚れの目立ちやすさを軽減しています。
また外観上で目立つのは、画面のナローベゼルっぷりでしょう。これは液晶パネルの縦方向拡大(アスペクト比率16:10化)と4辺ナローベゼル設計が合わさった成果。画面占有率は91%と、直接的ライバルとなる、デル『XPS 13』の91.5%に並ぶ数値となっています。
その液晶パネルも特徴多数です。まず解像度は2560×1600。いわゆるWQHD(2560×1440)を縦方向に拡大した設定です。
現状のWindowsノートPCのディスプレイパネルでは、4K解像度では非常に消費電力が大きくなるのですが、この解像度は「フルHDよりも高精細ながら電力増加が少ない」という、バランスの取れた設定。バッテリー駆動時間も解像度も妥協したくないという、ヘビーユーザー好みの設定というわけです。
最大輝度は300nit(ニト)と低めですが、色域(色を表現できる範囲)はsRGB 100%と、モバイルノートPC用としては広範囲。表面仕上げも、高級モバイルPCでは復権の兆しを見せる非光沢仕様です。ただし“YouTubeでの”HDR対応に関しては、残念ながら非対応(Windows HD Colorの広色域判定がNoになる)仕様です。
なお、本機の液晶パネルは1グレード。Core i5搭載機種など(後述)を選んでも、画面仕様は同一という、ある意味「攻めた」仕様です。
基本性能に関しては、独立(単体)GPUこそ非搭載になるものの、CPUには開発コードTiger Lakeことインテル製第11世代Core iシリーズを採用。上位モデルには『Core i7-1165G7』、廉価モデルには『Core i5-1135G7』を搭載します。
同CPUは、インテルの公称で「Officeアプリ利用時の性能では、同クラスの第10世代Coreと比較して約20%の向上。グラフィックス性能は約2倍」と、昨今のインテル製CPUとして大きな向上率となっている点、そして実際にベンチマークなどで検証しても概ねこの傾向を出している点が特徴です。
そしてTiger Lakeでは重要になるRAMは、同CPUでの最高速となるLPDDR4X-4266仕様。4.266GHz相当の高速アクセスが可能となるタイプです。容量は基本が8GBで、Web直販では16GBモデルも用意されます。
SSDはもちろんNVMe(PCI Express接続)の高速SSD。高級機種だけあり、基本は512GB、Web直販の上位モデルでは1TBを用意します。
USB端子に関しては、Thunderbolt 4(兼USB Type-C)を2基に、USB Type-Cを1基搭載。レイアウトは本体左側にTB4を2基、右側にUSB-Cを1基という、利便性の高い構成。しかも3基全てが電源入力(USB PD)とDisplayPort Alt Modeに対応するため、周辺機器の接続に際して制限を受けることが少ない仕様です。
セキュリティに関しても、Windows Hello対応の顔認証に対応。昨今のモバイルPCでは省略されつつある、3.5mmヘッドホン端子もしっかりと搭載します。
内蔵バッテリーは容量50Whで、公称駆動時間は約14時間(JEITA 2.0測定)。これだけの容量があれば、文書作成などでの実動でも6~8時間程度は持つ換算です。
さらにレノボが昨今力を入れる「Lenovo スマートアシスト」機能の数々も搭載。Webカメラで周囲ののぞき見をモニタリングし、検出したら画面全体をぼかす機能や、動画の自動アップスケール機能などを搭載します。
これらを含めた基本性能は、
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本体サイズ……約295.9×208.9×14.25mm(幅×奥行×厚さの最薄部)
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本体重量……約966g
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ディスプレイ……13.3インチ/16:10、2560×1600(最大輝度300nit、色域はsRGB100%カバー)
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CPU……インテル製Core i7-1165G7/Core i5-1135G7 (標準TDP15W、4コア8スレッド)
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GPU……CPU内蔵(インテルIris Xeグラフィックス)
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RAM……8GB/16GB、LPDDR4X-4266(オンボード)
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ストレージ......512GB/1TB SSD(NVMe/PCI Express 3.0接続、内部M.2形状)
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バッテリー容量......50Wh
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USB端子......Thunderbolt 3兼USB Type-C×2、USB Type-C×1(3基すべて電源入力兼用、DisplayPort Alt Mode対応)
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拡張端子......3.5mmヘッドセットジャック(入出力兼用)
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Wi-Fi......Wi-Fi 6
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Bluetooth……バージョン 5.0
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生体認証機能......Windows Hello対応顔認証
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標準搭載OS......Windows 10 Home 64bit版
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ACアダプタ……USB Type-C端子、65W、ケーブル直付け(166g)
といったところ。総じて、2021年初頭の高級モバイルノートPCとして、全方位で水準以上の性能と呼べるレベルでしょう。
なお本機には、面白いバリエーションモデルとして『Yoga Slim 750i』が同時発表されています。こちらの発売(受注開始)日は12月18日、価格は12万9800円(税別)から。
面白いというのは、「ほぼ同一仕様で、外装の素材をアルミ合金とした」バリエーションモデルであるため。製品名はCarbonが付かないだけの差ですが、実際のモデルもそれに準じた格好となるわけです。
液晶パネルやナローベゼル設計、TB4/USB-C端子の構成といった750i Carbonで特徴的な機能はすべて継承しますが、重量は外装の違いで約1.21kgと若干重く。逆説的に、この重量差がカーボンファイバーの威力ということになります。一方で本体サイズは約295.9×208.9×13.8mm(最薄部)と、最薄部のみわずかですが薄くなっています。
基本パーツは、CPUにCore i5-1135G7を搭載し、RAMは8GB、SSDは256GBというベーシック構成。本体素材の違いからか、コストパフォーマンス重視モデルとして設定されています。
一般的にこうしたバリエーションモデルが用意される場合、外装素材のみならず、基本パーツなどでも差が付けられることが一般的。ほぼ外装だけが異なるというのは非常に珍しいパターンなのです。
このようにYoga Slim 750i Carbonは、レノボが昨今力を入れるYogaシリーズ(コンシューマー向け高級ノートPC)の新たな主力となるべく、モバイルノートPCとして隙のない仕様を1kg内に収めた、力の入ったモデル。
昨今ついに海外メーカー勢も力を入れ始めた1kg以下の高級モバイルノート市場の中でも、大いに注目できるだけの実力とデザインと呼べる機種でしょう。
また定価レベルでも十二分にライバルと闘える価格設定になっている点にも注目。良い意味で価格が当てにならないレノボ直販のセールなどでは、価格面でも期待ができるのではないでしょうか。
"モバイル" - Google ニュース
December 01, 2020 at 09:03AM
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