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Tuesday, July 14, 2020

ドコモ吉澤社長、菅官房長官の再び「料金値下げ」発言に反論--5Gや楽天モバイルにも言及 - CNET Japan

 3月に次世代モバイル通信「5G」の商用サービスを開始したが、そのアピールの場となるはずだった東京五輪がコロナ禍で延期となり、ショップの営業にも大きな影響を受けたNTTドコモ。

 楽天モバイルの新規参入や、電気通信事業法改正による端末値引き規制など、コロナ禍だけでない逆風が続く状況下で、異例の5期目を迎えた同社代表取締役社長の吉澤和弘氏は、どのようにしてこの難局を乗り越えようとしているのか。インタビューを通して思いを聞いた。

取材に応えるNTTドコモの吉澤氏
NTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏

中国の回復で5Gの整備は計画通りに

——5期目を迎えるのは御社としては久しぶりのことですが、どのような狙いがあったのでしょうか。

 弊社の取締役の任期は2年間で、それを2期務めてきましたが、必ずしも社長が「4年」という決まりがあるわけではありません。2020年は5Gの立ち上げをしっかりやっていくことを考えています。

——4月28日の決算発表の際、コロナ禍で5Gの基地局整備が遅れる可能性があると説明していましたが、現在はどうでしょうか。

 通信機器のサプライチェーンとして大きな存在だった中国が、新型コロナウイルスの影響で2〜3月に大変な状況となっていました。ですが、それが収束して以降、機器は順調に入ってきており、心配していた状況にまでは至っていません。遅れを取り戻して当初計画通り整備ができると思っています。

コロナ禍で特に2021年の5G基地局整備計画が遅れる可能性があるとしていたが、その後中国での通信機器生産体制が回復したことから、当初予定通り整備が進められるとのこと
コロナ禍で特に2021年の5G基地局整備計画が遅れる可能性があるとしていたが、その後中国での通信機器生産体制が回復したことから、当初予定通り整備が進められるとのこと

——5Gで力を入れているパートナーとの協業によるビジネス開拓は、コロナ禍でどのような変化がありましたか。

 上半期までに22のソリューションが提供されるなど、協業による取り組みは順調に進んでいますが、コロナ禍で新たにリモート型のソリューションに関する相談が幅広い企業から増えていますね。テレワークやリモート教育、医療などに関する話をパートナー企業からいただいているので、それらに向けた5Gのソリューションを充実させようとしています。

——コロナ禍でショップの営業時間短縮など影響を受けましたが、5Gを中心とした端末販売にはどの程度影響がありましたか。

 5Gの端末販売は計画よりも下で、4〜5月はオンラインでの販売が伸びたものの、ドコモショップでの販売数が多いのでそこに顧客が来なくなった影響が大きいです。ただ6月にショップが通常営業に戻り、全体で見れば3〜5月の反動で6月後半からは増えていますし、それが7月にも続いている状況です。

 しかも、6月には「Xperia 1 II」の販売が始まったことも寄与して5Gの契約は伸びており、現在は17万契約に達するなど、当初計画よりちょっと上といった状況です。2020年度には250万契約の5G契約獲得を見込んでいますが、その多くはより購入しやすい5Gのエントリーモデルを投入する下期に増えると見込んでいます。いつ、どのような形で出るかは分かりませんが、5G対応iPhoneの登場をある程度見込んでいることもありますね。

NTTドコモでの販売が大幅に遅れていた「Xperia 1 II」。2020年6月18日に発売されたことで5Gの契約増に大きく貢献しているようだ
NTTドコモでの販売が大幅に遅れていた「Xperia 1 II」。6月18日に発売されたことで5Gの契約増に大きく貢献しているようだ

法改正で市場は停滞、中国メーカー製端末の再導入は?

——2019年に導入した新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」は伸び悩んだ印象でしたが、現在の状況はいかがでしょうか。

 確かに2019年は、1700万契約の計画に対して約1650万契約と、やや届きませんでした。ただ現在は1850万契約に達し、移行速度は想定通りかなと思っています。

新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」の契約数は、2020年3月末時点で1651万と当初計画には届いていなかった
新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」の契約数は、2020年3月末時点で1651万と当初計画には届いていなかった

 新料金プランはもともと顧客還元の一環であることから、母数が増えることで2020年度もそれなりに業績に影響してきますが、「月々サポート」の減少などもあるので、それなりに利益を確保できると考えています。それに加えて弊社では、コスト削減やスマートライフ事業やソリューション事業などを伸ばす取り組みも進めていることから、利益は2019年度以上の水準を狙っています。

——新料金プランの導入は2019年10月に実施された電気通信事業法改正の影響も大きかったと思います。法改正の影響は他にどのようなところに出ていますか。

 他社が法改正直前にキャッシュバック攻勢を仕掛けてきたことから、駆け込みなどもあって2019年10月以降は端末販売の減少が続いています。また法改正によって、端末購入補助が2万円までという制限ができたことから、番号ポータビリティ(MNP)に効いていますね。MNPで他社に転出しても端末が安くならないので、転入・転出の絶対値が減っている。弊社は契約数が多いのでトータルで見れば転出の方が多いのですが、出る数も入る数も少なくなっている。他社も同様ではないでしょうか。

 端末に関しても、現在最も売れているのはLTEのスタンダードモデルですね。2〜3万円台で購入できる端末の比率が高く、3Gからのマイグレーションにも多く選ばれています。そのため、LTE端末をすぐなくすわけにはいきませんし、今後1〜2年は5G端末とLTEの安価なスタンダードモデルを併売することになると思います。

——安価なスマートフォンでいうと、他社は5Gを機に中国メーカーのスマートフォンを積極採用する方向に動いています。中国メーカーに対しては以前慎重な対応をとっていましたが、現在の考えを教えてください。

 5Gのエントリーモデルに関しては充実したものを揃えようと思っており、他社に十分対抗できると考えています。ファーウェイ・テクノロジーズについては、米国からの制裁を受けていることから対応できない部分がありますが、他の中国系のメーカーからは提案なども受けており、情報を集めているところです。

KDDIなどは5Gを機として、スマートフォンの低価格化のためオッポなど中国メーカー製のスマートフォンを多数採用するようになった
KDDIなどは5Gを機として、スマートフォンの低価格化のためオッポなど中国メーカー製のスマートフォンを多数採用するようになった

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July 15, 2020 at 06:00AM
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