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Wednesday, March 18, 2020

「モバイルPASMO」始動、基本は「モバイルSuica」と一緒だが注意が必要(鈴木淳也) - Engadget日本版

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首都圏の私鉄沿線住民など、一部利用者に朗報となる「モバイルPASMO」サービスが3月18日スタートした。導入から定期券購入、基本的な導入方法から注意事項をまとめた記事のほか、FAQ形式のまとめまであるので、事前にそちらを参照してほしい。本稿では注意ポイントや気になる点について少し触れる。

(見出し画像は編集部が用意)

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▲モバイルPASMOサービスが3月18日スタートした

モバイルPASMO利用開始時の注意点が2つ

注意点の1つめは、既報の注意事項にもあるように、モバイルSuicaとモバイルPASMOを併存できるAndroidスマートフォンの機種は非常に限られている。公式で公開されているPDF情報にもあるように、現行で対応機種となっているのはXperia 1/5/8、Android One S6、Pixel 4/XLの実質6機種のみ。

モバイルPASMOでは各機種の対応状況をType 1/2/3の3種類で区別しており、併存可能なものがType 1、モバイルPASMOまたはモバイルSuicaのいずれか1つを導入できるものがType 2、モバイルPASMO未対応のものがType 3となっている。

おサイフケータイに対応しているほとんどの機種はType 2またはType 3であり、「両端にJR区間を含まない通勤定期」のようにPASMOが必須なケースを除き、基本的にはモバイルSuicaをそのまま利用し続けることをお勧めする。

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▲Type 2対応の機種でのおサイフケータイアプリの表示。モバイルSuicaとモバイルPASMOの2つのアプリを導入した場合、片方がグレーアウトとなる

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▲Type 1対応機種での表示。グレーアウトはなく、こちらではメインカード切り替えの切り替えも可能(画像提供:平澤寿康)

注意点の2つめは登録可能なクレジットカードだ。記名式PASMOの利用時でもクレジットカードの登録は必須ではないが、端末上でオンラインチャージができなければモバイルPASMOを利用するメリットがほとんどないため、基本的にはクレジットカードを登録して利用することになる。

American Express、JCB、Mastercard、Visaのカードが一通り利用できるが、登録にあたっては本人確認サービスである「3Dセキュア」が必須。これに対応していないカードはすべて弾かれるため注意したい。また、サービス開始直後にはエラーが頻発して「登録がうまくいかない」という状況が続いたが、これはアクセス集中などの理由でサーバが正常動作していなかったことが原因とみられる。

もし3Dセキュアの認証に失敗したといったケースでは、それに応じたエラーメッセージが出るので、もしエラーが続けて出てうまくいかないというときは時間を空けてやり直すといいだろう。

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▲カード登録時のエラー表示の1つ。これはサーバが混み合っているなど、正常動作していない場合に表示されるメッセージと思われる

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▲こちらは3Dセキュア未対応のカードを登録しようとしたときのエラーメッセージ。なお、「1円オーソリ」と呼ばれるカードの有効性をチェックする仕組みが登録時に動作するようなので、カードが事故で止まらないように注意したい

このほか、クレジットカードを使わないチャージ方法として、駅の券売機やコンビニなどを活用することもできる。現金チャージのみとなるが、JR東日本のチャージ専用端末でも問題なくモバイルPASMOのチャージが行えるので有効活用してほしい。

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▲JR東日本の券売機でも問題なくモバイルPASMOはチャージできる

なぜ2つのモバイル交通系サービスが共存できない機種が多いのか

すでにモバイルPASMOを使い始めた人ならお気付きだと思うが、同アプリはメインのユーザーインターフェイスがiOS版のモバイルSuicaアプリとほとんど一緒だ。ヘルプページなど、随所にその名残はみられ、モバイルPASMO for AndroidのベースになっているのがモバイルSuica for iOSであることがわかる。

複数の情報源によれば、モバイルPASMOはPASMO協議会のメンバーの中のある大手1社が持ち出しの形でJR東日本に対してライセンス料を払い、モバイルアプリやバックエンドなど各種リソースを借り受ける形で実現したものだという。

2年半前に最初の噂が出たときの記事で、筆者は「政治的」「技術的」の2つの導入ハードルがあることに触れた。

政治的な課題とは「数億といわれるモバイル利用にあたって必要なライセンス料の支払いを、複数社の寄り合い所帯であるPASMO協議会が負担の分担についてどのように合議するのか」という問題であり、これを特定1社がほぼ肩代わりする形でモバイルPASMO導入を押し切ったというのが実情のようだ。

また、「モバイルSuica for iOSとモバイルPASMO for Android」が似ているというのも、単純に今回のベースとなっているのがモバイルSuicaアプリであり、ある意味で当然の話だ。

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▲モバイルPASMOのメイン画面

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▲モバイルSuica for iOSのメイン画面。両者が酷似していることがわかる

モバイルPASMO導入を押し切った特定1社のおかげで政治的問題は解決できたが、技術的問題は残る。技術的課題とは「SuicaとPASMOでシステムコード(0003)の重複」「内部メモリの領域不足」の2つであり、特に前者はリーダーにカードを認識させるうえで問題となる。

技術的詳細は現時点で不明だが、今回のケースでは「メインカード」という概念を持ち出す形で表に出てくるカードをモバイルSuicaまたはモバイルPASMOのいずれかで切り替える方式を採用しており、そのために「おサイフケータイ」アプリの存在がなくてはならないものとなっている。iPhoneのApple PayにおけるWalletアプリの役割をおサイフケータイアプリに持たせた形だが、少なくともこれでシステムコード重複問題は回避された。

次の問題が「内部メモリの領域不足」だ。こちらはまだ推測でしかないが、既存の多くのおサイフケータイ対応機種では交通系ICカードは「モバイルSuica」のみの利用を想定しており、セキュア領域に別のアプリケーションが入ってくることを想定していない。そのため、内部的に余裕を作ってある最新機種でない限り対応が追いついていないという考えだ。

このあたりをきちんと検証したいものの、Type 2の機種ではFeliCaのストレージ利用状況をおサイフケータイアプリから確認できるのに対し、Type 1のXperia 1やPixel 4でこの情報を見ると何も表示されない。おそらくは、この「領域」に関する閾値がType 1とType 2を分ける分岐条件の1つになっていると筆者は推測する。このあたり、もう少し状況が分かりしだい改めてレポートしたい。

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▲Type 2の端末でおサイフケータイアプリからFeliCaのストレージ情報を確認したところ

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▲Type 1の端末(Xperia 1)でおサイフケータイアプリからFeliCaのストレージ情報を確認しようとしたところ、何も表示されない(画像提供:平澤寿康)

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March 18, 2020 at 03:33PM
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