DNAがどの程度損傷しているかを評価する技術を生かし、安心で健康な生活を多くの人々に届けたい――。そんな思いを胸に、茨城大学発のスタートアップ「Dinow(ディノウ)」が立ち上がった。放射線被曝(ひばく)のリスクが高い人を中心に、ヘルスケア事業を展開していく。
創業したのは茨城大大学院理工学研究科の中村麻子教授と、研究室に所属する同研究科博士前期課程の高橋健太さん。資本金は100万円で、高橋さんが最高経営責任者(CEO)に就いた。
会社設立のきっかけは2011年の東日本大震災だ。震災前、米国立衛生研究所(NIH)の研究員だった中村教授はH2AXというタンパク質を選択的に染色してDNA損傷の程度を評価する技術「H2AXアッセイ」の確立に携わった。
11年3月に日本に帰国し、東京電力福島第1原子力発電所事故で放射線による健康被害や、心理的不安を抱える人々の姿を目の当たりにした。自身の研究成果を通じてそうした不安を取り除けないか。17年に学部4年生で研究室に入った高橋さんとともに、事業化の準備を進めてきた。設立日を3月11日としたのもそうした背景がある。
Dinowでは「職業被曝」に直面する人らを主なターゲットとする。放射線被曝のリスクが高い業務の従事者から採血してDNA損傷の度合いを調べ、推定した被曝線量に基づき疾病リスクの評価などを行う。被曝によるDNA損傷と身体への影響をデータとして蓄積し、生活習慣が疾病リスクに与える影響を可視化するサービスも提供する計画だ。一般人やアスリートの健康管理に役立てられるという。
想定する顧客層の一つが航空業界だ。客室乗務員やパイロットらは日々の業務で宇宙放射線を被曝する。起業にあたっての聞き取りで「線量の管理に不安があるとの声が多かった」(高橋さん)。放射線に関する研修などは受けているが、被曝量は実測されていない実態もあるという。診療放射線技師をはじめとする医療業界や宇宙業界などのニーズも見込む。
DNA損傷に基づく分析は世界的に「重要だと認識されつつもデータ収集に手間がかかるため敬遠されてきた」(中村教授)。Dinowはまず放射線量の高い地域の自治体などに協力を仰いでDNA損傷のデータ収集を進め、21年に本格的なサービス開始を目指す。
現在、技術的には一滴の血液からDNA損傷を評価することができる。ただ、一度に多くの分析をする機器や体制はできていない。「各施設や各家庭でいつでも解析できる仕組みを整え多くの人の健康や安心を実現したい」と高橋さんは話す。(水戸支局 生田弦己)
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March 23, 2020 at 02:35PM
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DNA損傷評価で健康・安心を 茨城大発スタートアップ - 日本経済新聞
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