新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、テレワークの必要性、有用性が再認識されている。そこで重要なキーアイテムとなるのが、モバイルPCだ。ただしモバイルPCの導入時には、より強固なセキュリティー対策も併せて考える必要がある。求められるのは“情報漏洩リスクが高くなるPC内のデータをいかに守るか”という視点だ。この時に非常に有効となるソリューションがある。万一のPC紛失・盗難時に、遠隔操作によってPC内のデータを完全消去してくれるパナソニックのサービスだ。
テレワーク環境の構築時には、
モバイルPCのセキュリティー対策も併せて考える必要がある
現在企業にとって、テレワーク環境の整備や構築は、最重要の課題にまで高まっている。生産性を落とすことなく、事業活動を維持し続けるためには、従業員にモバイルPCを配布し、同時にインターネットへの接続環境を提供する必要がある。
ただしその際には、様々な場所で利用されることになるモバイルPCに対して、デスクトップPC以上に強固なセキュリティー対策を施す必要がある。この時に有用となるソリューションが、パナソニック株式会社の提供する遠隔データ消去サービス「TrustDeleteBiz パナソニック版」だ。
※以下 TRUST DELETE Bizパナソニック版 をTRUST DELETE Bizと省略
パナソニック株式会社
コネクティッドソリューションズ社
モバイルソリューションズ事業部
マーケティングセンター 東アジア営業統括部
ソリューションSE部
川野 正隆氏
TRUST DELETE Bizは、万一のPC紛失・盗難時に、遠隔操作でPC内のデータを完全消去あるいはPCの操作をロックすることができるクラウドサービスだ。誕生の背景について、パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 モバイルソリューションズ事業部 マーケティングセンター 東アジア営業統括部 ソリューションSE部 川野正隆氏は、次のように説明する。
「TRUST DELETE Bizは2012年のリリースですが、そのきっかけとなったのはお客様からのご相談でした。“従業員の利用するPC環境をモバイルPCに一本化したいが、紛失・盗難時の情報漏洩リスクが怖くて踏み切れない”というものです。そこで我々は、遠隔操作でモバイルPC内のデータを完全消去できるようなソリューションを作ろうと考えました」(川野氏)
TRUST DELETE Biz:サービス提供のしくみ
モバイルPC専業メーカーの強みを活かして、
電源オフでも遠隔操作でデータ消去が可能なサービスを共同開発
2012年当時、PC紛失・盗難時のデータ消去方法としては、 Windows 起動後にIT管理者からデータ消去の命令を送るという仕組みしか無かったという。しかしPCを無くした時に必ずしも電源がオンで、かつ Windows が立ち上がっているとは限らない。むしろ持ち運びの際にエンドユーザーは電源を落としていることのほうが一般的だろう。
「果たしてそれでPCを無くした時に、本当に効果があるのだろうかという疑問をお客様が持たれていたのです。そこで我々は、“モバイルPC専業メーカー”という強みを活かして、自ら作り込んでいるBIOSの中にデータ消去用のプログラムを埋め込むことで、PCを無くした時に電源がオフの状態であっても、リモートからの指示で、PC内のデータ消去が可能なソリューションを開発しようと考えたのです」(川野氏)
先にも少し触れたが、一般的なリモート消去のサービスでは、消去プログラムがPC内のHDDやSDD上にあるため、OSの起動後でなければ消去プログラムは機能しない。しかしパナソニックは、チップ内のBIOSに消去プログラムを実装することで、例え無くしたPCが電源オフの状態でも、遠隔操作で電源を立ち上げて消去プログラムを起動し、HDDやSSDのデータを完全に消去することを可能にした。
「BIOSの中に埋め込むデータ消去用のプログラムと、電源オフのPCを立ち上げるという機能は我々が開発したものですが、クラウド上で対象PCを管理したり、消去指令を発行したり、あるいは対象PCからのレポートを受け取ったりという機能はワンビ株式会社様と一緒に開発したものです」(川野氏)
TRUST DELETE Bizは、ワンビ株式会社が2006年にリリースした遠隔データ消去製品「TRUST DELETE」をベースにして、パナソニックとワンビが共同開発したサービスということになる。
「2015年モデル以降の法人向けレッツノートであれば、全ての製品に工場生産時からTRUST DELETE Bizに対応したBIOSが標準で実装されています。その中で、電源オフの状態でもSMSを使ってデータ消去命令を送り込むことができるのは、LTEを内蔵した最上位のワイヤレスWANモデルです」(川野氏)
PC電源がオフの状態でも完全にテータ消去できるTRUST DELETE Bizの仕組み
TRUST DELETE Bizの利用に当たっては、ワンビの提供するクライアントモジュールを管理対象とするPCにインストールするだけだ。その作業はPC購入時ならパナソニックあるいは取引のあるSIerに依頼して、キッティング時に一緒に行ってもらえばいい。既にPCを配布済みの場合でも、IT管理者側から遠隔操作でクライアントモジュールを送り込めばOKだ。現在TRUST DELETE Bizは、レッツノートを使用するパナソニックでも当然利用されており、さらにユーザー企業からの引き合いも毎年増えてきているとのことで、2020年1月時点で約5万2000台のレッツノートで利用されているという。
また今の企業にとってデータは重要な資産となっているため、TRUST DELETE Bizが使われている業種は非常に幅広く、多岐にわたるが、特にモバイルPCを無くした時のインパクトが非常に大きいところ、例えば監査法人や製薬業界からの引き合いは多いとのことだ。
「TRUST DELETE Bizは、いわばインシデントの発生時に事後対策を行うためのソリューションですが、PCを配布する時に“あなたのPCには、リモート消去の機能が搭載されていますよ”と言うだけで、従業員のセキュリティー意識が高まるという効果が出ています。それはお客様からも言われましたし、社内でもPCを紛失する割合が低下したという結果がビフォー/アフターで得られました。これもまたTRUST DELETE Bizの大きな導入効果の1つだと言えます」(川野氏)
データ消去などの実行結果をレポートする機能で、
IT管理者を強力に支援
クラウドサービスとして提供されるTRUST DELETE Bizは、利用に際して新規にサーバーを立てる必要がなく、OS上のソフトウェアではないため、既存のPC管理システムと競合することもほとんど無い。プリブートの暗号化ソフトウェアとも併用することが可能で、導入・運用時のハードルは非常に低いと言える。
またTRUST DELETE Bizは、データ消去の第三者証明サービスを提供する組織「ADEC(データ適正消去実行証明協議会)」によって、消去プログラムによるデータ消去が適正に実施されていることも認証・証明されている。
さらにもう1つ特筆すべき点は、TRUST DELETE Bizが、ステータスレポートの発行機能を提供していることだ(ワイヤレスWANモデルのみ)。具体的には、IT管理者側からのデータ消去や操作ロックといった命令をPC側で実行した後、その結果をレポートとして通知してくれる機能である。
「通常PCに適用されるセキュリティー対策は、アンチウイルスソフトをインストールしたり、ローカルドライブ内のデータを暗号化したりといった一方通行の施策がほとんどです。これに対してTRUST DELETE Bizでは、データ消去や操作ロックなどの処理が終わった後、その実行結果をPC側からIT管理者の方へ通知できるという点が非常に大きな特徴となっています。これによってIT管理者の皆様は社内に対して、確実にデータが消去できた、あるいはPCがロックできたということを証明することができます」(川野氏)
万一エンドユーザーがPCを無くしてしまった時、IT部門は経営層から“PCからの情報漏洩を心配する必要は本当に無いのか”と詰め寄られるケースが多々あるという。しかしその際にTRUST DELETE Bizを利用していれば、データ消去や操作ロックといった事後対策をきちんと施した上で、その結果をシステムからの証明レポートとして経営層に提示することが可能となる。
「TRUST DELETE Bizのレポート機能によって、経営層の不安を解消することができたというユーザー企業のIT管理者の方から、お礼の電話やメールをいただくこともありますね。お役に立てていることが実感できて、我々としても嬉しい限りです」(川野氏)
TRUST DELETE Bizの利用によって、テレワーク環境におけるモバイルPCのデータセキュリティーを担保できるだけでなく、IT管理者の運用負荷や経営層の不安までを大幅に低減することが可能になるのだ。
備えあれば憂いなし!
2017年からテレワークを推進していたパナソニックの取り組み
パナソニック株式会社
コネクティッドソリューションズ社
マーケティング部
西畑 梨那氏
TRUST DELETE Bizを提供するパナソニックでは、既に2017年から、自社でもテレワーク推進の取り組みを開始している。その経緯について、パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 マーケティング部で、働き方改革のエバンジェリストも兼務する西畑梨那氏は、次のように説明する。
「きっかけは現社長である樋口の社長就任時に、社内の働き方改革を、カルチャー&マインド改革として、まずカルチャーを変えて、マインドを変えて、働き方の筋力をつけていく、そのうえで働き方改革を推進していくと指揮をとられたことです。そこでまずオフィス内ではフリーアドレス化や無線LAN環境の充実を図り、 Skype や Microsoft Teams といったチャットツールを導入して、よりスムーズなコミュニケーション環境を構築することを目指しました。週報なども廃止して、組織全体で可能な限りタイムリーに、密にコミュニケーションを取っていくことを勧めてきたのです。またそれまで在宅勤務を希望する従業員は、自宅の間取り図を提出するなどの手続きが必要だったのですが、今ではそれもなくなり、リモートワークが非常にしやすくなりました」(西畑氏)
現在新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、多くの企業で従業員の出社を制限する動きが出ているが、パナソニックでも汐留オフィスの従業員2000名を対象に、社長から“オフィスにはできるだけ出社しないように、全員テレワークで対応するように”という指示が出されたという。
しかし既にテレワーク環境が整備されていた同社では、そのために何か新しい設備を購入したり、ITツールを導入したりする必要は一切無かったという。
「当社には働き方に多様性を持っている人が多く、例えば介護や子育てをしている人たちは、急な事情で出社できない状況が多々あります。そこで私たちはほぼ全員、毎日レッツノートを持って帰ることが習慣化しており、いつでも、どこでも仕事ができる状態になっています。また Skype や Microsoft Teams の利用も社内で十分に浸透しているので、コミュニケーション面での不安もないです。明日から全員テレワークでと言われても、特に慌てることはありませんでした。また、レッツノートは、ビジネスモバイルPCとしてお客様のビジネスをとめないPCをご提案させていただいており、そういった意味でもずっと昔からこういった状況にも耐えられるPCをお客様と作り続けてきましたし、準備などは全く不要でした」(西畑氏)
あらかじめテレワークの環境が整備されていれば、今回を含むいざという場合でも、必要最小限のFace to Faceで仕事を進めることができる。こうした自社のノウハウを他企業にも活用してもらうために、パナソニックでは『テレワーク緊急支援プログラム』を無償で提供開始した。
「テレワークの実施に当たっては、IT環境の整備だけでなく、テレワーク時の従業員の労務管理なども併せて考える必要があります。そこで『テレワーク緊急支援プログラム』では、PCの操作ログから働き方を見える化する“しごとコンパス”と、先に紹介したTRUST DELETE Bizという2つのクラウドサービスを無償で提供することで、日本企業の皆様のテレワークをご支援させていただきたいと思った次第です」(西畑氏)
そして西畑氏は「こうしたテレワークを推進していく上で、レッツノートは欠かせない存在」だと強調する。
今回の取材は Microsoft Teams を使用して実施。遠隔とは思えない高画質の画像と高品質の音声が魅力だ
現在パナソニックが提供するレッツノートには全て、ビジネスプラットフォームの運用をハードウェアレベルで支援するインテルの最上位プラットフォームであるIntel vPro® プラットフォームが搭載されている。
Intel vPro® プラットフォームは、エンドユーザーには高いパフォーマンス性能を、IT管理者には高度なメンテナンス機能などを提供するもので、Intel vPro® プラットフォームによってレッツノートの利便性や運用管理性はさらに高まることになる。
例えばあるユーザー企業では、日中社外に持ち出されたモバイルPCが、きちんと返却されたかどうかをチェックするために、Intel vPro® プラットフォームでリモート管理機能を提供するインテル® AMTを使って、PCの出庫管理をリアルタイムで行っている。
管理対象となるモバイルPCが有線/無線を問わずインターネットに繋がる環境にあり、ACアダプターに接続されている必要があるが、PC本体の電源は落ちていても全く問題ない。
またインテル® AMTを使えば、IT管理者はモバイルPCの障害発生時も、リモートKVMを利用したブルースクリーンからのリカバリー作業を行うことも可能になる。
さらにインテルは2019年11月、インテル® AMTを搭載した複数のPCを一元的に管理することのできるインテル® EMAという無償のWebアプリケーションをリリースした。インテル® EMAを利用することで、インテル® AMTのプロビジョニングや設定変更、電源の遠隔操作などを容易に実施することができる。
「私たちの提供するTRUST DELETE Bizは、セキュリティーインシデントが発生した時の事後対策用のソリューションですが、Intel vPro® プラットフォームは、エンドユーザーに高いパフォーマンス性能を提供すると同時に、IT部門の皆様が日々の運用業務の中で抱えている課題を解決するためのソリューションだと考えています。我々のレッツノートをご利用いただくことで、安心・安全で、かつ運用ストレスの無いテレワーク環境を構築していただくことが可能になると思います」(川野氏)
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"モバイル" - Google ニュース
March 31, 2020 at 05:57PM
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“モバイルPC専業メーカー”のパナソニックが安心・安全なテレワーク環境の構築を支援する - 日経テクノロジーオンライン
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