こんにちは、保安員の澄江です。
年末年始は、1週間ほどお休みをいただけたので、ゆっくりと過ごすことができました。自宅にいる時は、大好きなテレビにかじりついて、リモコンを片手にさまざまな番組をチェック。お笑い番組と格闘技中継を交互に見ながら年を越し、お正月は簡単なおせちを肴に、やはりいろんな特番を見て、この上なくだらだらと過ごしました。
今年は、自宅の近所にある高校が「全国高校サッカー選手権大会」に出場しており、こちらも観戦。詳しいルールはよくわからないものの、ご近所という縁があるだけでも気持ちは入るもので、テレビの前でひとり声を上げてしまいました。パソコンやスマートフォンを思うように扱えない私にとって、最大の娯楽はテレビなのです。
(そういえば、あの子もサッカー部だったわね。あの後、走れるようになったかしら)
その試合中、ボールを持った選手がフェイントをかけて相手の選手をかわすシーンを見て、ある少年のことを思い出しました。今回は、そのことについてお話ししたいと思います。
重くどんよりした雰囲気の大型スーパーY
当日の現場は、関東郊外の住宅地にある大型スーパーY。食品はもちろん、衣類やドラッグコスメ、文具や玩具、家電まで扱う大型の総合スーパーです。自宅から1時間半ほどかかる場所にあるため、交通費負担の事情などから、普段は入らない現場なのですが、急な欠員が出てしまったということで変更となり、この日が初日の勤務となりました。営業の担当さんによれば、この地域で一番と言えるほど荒れた現場だそうで、外国人を含め、相当数の常習者を抱えているとのこと。古い造りの老舗店であるため、防犯機器の導入も少なく、保安員を入れるたびに複数の捕捉がある状況だと聞きました。
街の雰囲気を掴むために、少し早めに出て駅前を散策してみると、団地とパチンコ屋、スナック、ファストフード店ばかりが目立ちます。その街並みは、どこかどんよりとしていて、ここに住みたいと思わせないような雰囲気を醸し出していました。裏口の入管を経て、入店の挨拶をするために総合事務所まで出向くと、フットボールアワーの岩尾さんに似た店長さんから、見るからに面倒くさそうな態度で対応されます。
「あれ、初めて見る顔だな。いつもの人は、どうした?」
「身内に不幸があったようで、今日は私が担当することになりました。連絡入っていませんか?」
「ああ、なんか聞いたかもなあ。まあ、いいや。面倒なことは、お断りだからさ。それだけ気をつけて、あとは適当にやってください」
まるで信用されていないようですが、初日の現場ではよくあることなので、特に気にすることなく現場に入ります。
巡回を始める前に店内の状況を確認すると、出入口が多く複雑な売場は死角だらけで、重くどんよりとした雰囲気が充満していました。おそらくは、店長さんにやる気がないのでしょう。剥がされた値札や中抜きされた商品の空き箱なども、商品棚のあちこちに放置されており、かなりの被害が見て取れます。万引き被害は、店長さんのやる気がないほど、大きくなってしまうものなのです。
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2020-01-11 07:00:00Z
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